画家あれこれ8 new 2014.9.29
モネの睡蓮
いよいよ9月25日から始まった、
スイスが誇る、チューリッヒ美術館展。
印象派以降の名品が、ざくざく登場です。
今回の目玉は、モネの睡蓮。
なにせ、チラシの見開きにドン!
モネ(1840-1926)は、印象派の名前の元となった、
「日の出」を生んだ画家。
まさに美術界の中興の祖的存在です~。
日本でいえば、明治初期の出来事です。
世界中で大人気のモネの睡蓮。
パリ郊外に庭園を作り、そこで作家活動。
ガーデナーにとっては憧れの存在です。
淡い、光から生み出された色彩。
印象的なブルー。やわらかな白やビンク。
見るだけで ほわ~としてきます。
ところが、今回の作品。
なんだかイメージが違いませんか?
色が強くなり、闇との対比が全面に押し出され
底知れぬ沼から、赤と黄色が響き、
胸が痛くなり、動悸がしてくる感じ。
水の中に吸い込まれ、キラキラしてくる、
それまでの作品とは、明らかに違ってます。
ヒントは描かれた年代にありました。
1916-22年。
モネの晩年70代後半の作品です。
実はこのころ、画家の命とも言うべき目が
白内障を患っていたのです。
1914年の書簡に、「赤が濁りはじめた」
と記されていると聞きました。
以前、パリ郊外のマルモッタン美術館で
「バラの並木道、ジヴェルニー」
を見た時、その異常な迫力に圧倒され
た事が蘇ってきます。
1923年、モネは白内障の手術を受け
色彩を取り戻し、1926年にこの世を
去ることになります。
カーネギー美術館には、1920-26年の
制作年の作品が残されています。
いつか見たい作品の一つです。
80歳-86才の間に描かれたという事も
驚きですが、
さらに、美術館の写真を見て二度びっくり。
大きい~!!
モネの絵は、
ただ前に立っているだけで、個々の色が持つ
浄化作用によって魂が心底癒される。
いつもそんな気持ちになります。
心も身体も魂もぜーんぶ元気になる。
まさに命の洗濯です~。