画家あれこれ4
フラ・アンジェリコ(1400-1455)
「受胎告知」 230×297cm フィレンツェ サン・マルコ美術館蔵
今から約600年前。
ボッティチェリやレオナルド・ダ・ヴィンチよりもっと前の初期ルネッサンスの時代。
"天使のような(アンジェリコ)"と形容された修道士フラ・アンジェリコの代表作です。
西洋絵画=キリスト教
近代に入るまでのほとんどの作品は、なんらかの形でこの公式に当てはまるものが大半です。
絵の発注主が教会や権力者だったり、文字の読めない人々に、絵で聖書の物語を伝える役割があった事などが大きな要因です。
「受胎告知」はその中でも、大変好まれたシーンの一つ。
天使が聖母マリアに、神の子を身ごもったと伝える場面です。
私のファースト「受胎告知」がこのフラ・アンジェリコのものでした。
幼稚園のころ通っていた近所のお絵かき教室の壁に、年上のお姉さんかお兄さんが描いたであろう水彩の模写が貼ってあったのです。
子供の頃の刷り込みとは恐ろしいもので、今でもこの作品がキリスト教絵画の基準になっています。
幼稚園児から数えて*十年。
昨年やっと念願かなって実物を目にすることができました。
清貧が理念のドミニコ会の修道院。
黄金でキラキラしている教会とはちょっと異なり、禅寺のような雰囲気でした。
朝から大雨で、教会に着いた時は雷がゴロゴロ。
こりゃ〝神なり"だ~。と一人旅な事もあり妙に浮かれ、
お目当ての「受胎告知」はどこ?と2階への階段に向かうと、いきなり目の前に。。。。
不意打ちをくらったように。ドン!
おお。。。。
しっとりしていて、簡素で凛としていて、思わず頭を垂れてしまいました。
敬礼してお辞儀。
すっかりおのぼりさんです。
醸し出す空気感が絶品の "白" は圧巻でした。
左の羽のある天使はガブリエル。
この羽、虹色に輝きすごーく力が入っています。
両手を胸で交差させているのは、「受け入れ」のポーズ。
もう、うっとりです。
内部は小部屋が並び、それぞれの部屋の壁にフレスコ画が描かれています。
少々独房チックでした~。
こちらの「受胎告知」は更に清廉。
雨音だけが、祈りの小部屋に響く、不思議な空間を満喫しました。。