画家あれこれ3
ボッティチェリの「春」(1482頃)
(315×205cm フィレンツェ ウフィッツ美術館蔵)
「ヴィーナスの誕生」と共に絵画史上、最も有名な絵の一枚ですね。
ルネッサンス初期の名品ですが、実はこの絵が人目にふれたのは1815年のこと。キリスト教国のイタリアで、ギリシャ神話、新プラトン主義、マニエリスムと三拍子そろっていた為か、メディチ家の館の奥深くで忘れられていたようです。
ところが、公開されるや大人気となり現在にいたります。
300年たってやっと人々がボッティチェリに追いつけた。そんなところでしょうか?!
この絵、小さい頃から大好きだったんでが、妙に気持ち悪さが漂って、ヘンな感じ。ずっとそんな思いを抱いてきました。
ものすごい違和感があるんです。
舞台の大道具の前に、ペタ、ペタ、シールを貼ったような感じがしたり、日本の屏風画のようだったり。
スーパーリアルなのに平面的。
それが画集や写真から受ける印象でした。
ところが。。。。
ウフィッツ美術館で本物を前にした時、印象が全然違ったんです。
「あれれ?!」という表現がぴったり。
まず、本物は画集や画像のように明るくない!
つやつや光ってない!
もっとしっとりした感じ。
そして、「あっ!」と気が付いたのは中央の木。
まるでアーチのようになっていて、離れてみると女神様が浮き出てきて、空の青さで後ろにぐっと引けてみえるのです。
遠近感バッチリで、いきなり3D状態です。
ふと脳裏によぎったのが、「反逆者たちの懲罰」の、コンスタンティヌスの凱旋門。この門の感じととても良く似ているんです。
2つを比較してみると!
門のアーチの感じがそっくりでしょ。
嬉しい発見でした。
実物はやっぱり実物です~。
ローマにあるコンスタンティヌスの凱旋門は、私が行った時は修復中でした。
ナポレオンがとても気に入って、持って帰れないので、フランスに戻って真似てつくったのがパリの凱旋門です。
残念ながらナポレオン自身は完成をみることなくこの世を去ります。
古代ローマ⇒ルネッサンス⇒ナポレオン⇒現代
1枚の絵を通して繋がっていけるのもArtの魅力!!