画家あれこれ9  new  2014.10.31


レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の人体解剖図

ダ・ヴィンチによる背骨
ダ・ヴィンチによる背骨

 

おそらく絵画史上、最も有名な画家。

ルネッサンスの巨人レオナルド・ダ・ヴィンチ。

代表作の「モナリザ」は誰でも一度は、

どこかで見た事のある絵ではないでしょうか。

 

1503-1519 「モナリザ」77cm×53cm
1503-1519 「モナリザ」77cm×53cm

「モナリザ」さまの前では、ただひれ伏すしかありません。

 

が!そんな至宝も、ネットで「モナリザ」を検索すれば、

あるわあるわのパロディ作品の山。

他の追随をゆるしません。

 

昨年、ルーブルでモナリザを観た友人は、

あまりの人だかりに「モナリザ」が気の毒に

なってきたと言っていました。


曰く

「なんだかモナリザってば皆に見られ、

 サービスで微笑んでいて、

 顔面神経痛になっているみたいだった。」と。

 

では巨人に一般人がどう近づくか。

 

ダ・ヴインチが残した手稿を突破口にしてみました。

 

(ちなみに手稿は、40年かけてなんと1万5000枚!!

 描き、その中の3分の1が現存しているそうです。

 やっぱり一筋縄ではいきません。)

 

さて天才の頭の中をちょっぴり拝見です。

 

鏡文字という逆さまに描いた文字と一緒に

沢山の絵が描かれています。

 

こんな感じです。内容が分からないように逆さまに書いていたようですが、彼が左利きだったことも多いに関係しているらしい。。。
こんな感じです。内容が分からないように逆さまに書いていたようですが、彼が左利きだったことも多いに関係しているらしい。。。

たどり着いたのが、解剖図。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「ヴィトルヴィウス的人間」
レオナルド・ダ・ヴィンチ「ヴィトルヴィウス的人間」

骨格・内臓・筋肉・神経・組織まであるはあるは。。。。

その中の「骨」に注目です。

 

もともと、小さい頃から健康オタクで、

武道をかじった関係で身体の構造には興味がありました。

 

決めては「背骨なら私もある!!」という一点で。

 

 

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 人体解剖図を読み解く」前橋重二著より
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 人体解剖図を読み解く」前橋重二著より

 

解剖の本から、整体・鍼灸の本など、

骨が載っている図版を見渡しても、

これほど美しいものはお目にかかりません。

 

そして正確なことといったら。(調べた範囲ですが)

 

天才が本物を見て描いているのですから、

当たり前といえば当たり前ですが、やはり凄いです!!

 

 

基本的に、内臓や骸骨は苦手で、

あまり見ていて幸せな気分になれないのですが、

なぜかダ・ヴィンチの骨は大丈夫なのが不思議です。

 

で、せっかくなので描いてみました。

鉛筆による模写 小熊麻紗子筆
鉛筆による模写 小熊麻紗子筆
鉛筆による模写 小熊麻紗子筆
鉛筆による模写 小熊麻紗子筆

 

素描模写の楽しみは、丹念に塗り重ねた油彩と異なり、

素に近いダ・ヴィンチの感覚に触れられることです。

  

先般読んだ、脳科学者の加藤俊徳先生の

「脳の強化書」の中にも(P.143)、

名画を模写することが、

「その作品をつくった人の脳番地の使い方を、

無意識になぞることができる」とあり

やっぱりと納得したのでした。

 

大天才ダヴィンチの脳をなぞる事ができる!!

もしくは可能性がある!!

もうそれだけでテンションが上がります。

 

素描を模写して感じたのは、

感情や情緒といったものより、

探求力や好奇心といったあきらかに

科学者の視線でした。


面白いことに、

描いている部分の骨と

鉛筆の先と

自分の骨と対応し、

骨の構造が立体的に見えてきたり、

合わせて自分自身の姿勢や

動きが変わってきたりで、

面白くて仕方なかった事を憶えています。

 

背骨のカーブや骨盤の状態、

足の状態が急にリアルになってきたり。。。

 

身体関係のお仕事をされている方や

体技をなさっている方が模写されたら、

きっと別の角度から色々感じるのだろうな。

と思ったのでした。

 

そちら?の業種の方には特にオススメです。

 

 

さて、ダ・ヴィンチから約250年後。

日本にもオランダを通して、

西洋の医術がはいってきます。

1774年、

ヨーロッパ語の本格的な翻訳本としては初の

「解体新書」が発刊されることになります。


こちらの図版は、秋田藩士であり、秋田蘭画を生み出した小野田直武が担当しました。