画家あれこれ5 2014.7.27 NEW
やんごとなき方々の絵1 徽宗皇帝
生まれも育ちも超若様。
だれかの為に絵を描くのではなく、ただ自分の為に描く。
趣味で描くというレベルを超え、
目に見えない世界と交信するがごとく描く。
今回の勝手に画家紹介コーナーは
聖の世界で絵を描いた、
皇帝と将軍の絵に焦点をあててみます。
近年に入るまで、基本的には絵は権力者からの依頼品。
かのレオナルド・ダ・ヴィンチだって、
ラファエロだって皆~んなパトロンからの要望に
お応えする形で描いています。
ところが、北宋の徽宗皇帝と徳川慶喜公。
このお二人はその必要がはじめっからない。
そんな事を考えたこともない。
まさに『別格』という言葉がぴったりな方々です。
まずは徽宗(北宋8代皇帝1082-1135)の描いた桃鳩図。
なんとも愛らしい印象的な目。
「 ぽっ ぽっ ぽっ 」と膨らんでほわほわしている胸。
清楚な桃の花
気品漂う一級品です!!
ところが、徽宗といえば、歴代の中国の皇帝の中で
最高の文化人ながら、政治家としては完全に×。
趣味にお金をつぎ込みすぎて、
結局国を亡ぼすことになります。
どれほどの血が流されているかと思うと、
素直に<名品!!>と喜べないのですが、
1000年前の輝きをいつまでも放っています。
書画全てに秀でていた皇帝の、
トレードマークが絵の右に描かれている
<痩金体>といわれる書体です。
今でいうところのオリジナルフォントを考案して
しまったのですからケタが違いますね。
名前の由来は、
細くて痩せているような文字だからかな?
と思ったら、徽宗の号「痩」からきたそうです。
「桃鳩図」は国宝ながら個人蔵の為、
画集でしか見た事のない憧れの逸品で、
いつか見たいぞリストの上位作品!
その夢が叶うのはいつのことかしら?